がんとベータグルカン、その効果と効能を科学する

食品からベータグルカンを摂取する目的とその意義とは?

ベータグルカンが免疫力を活性化する仕組みとは?

ベータグルカンの本質/作用とその問題点とは?

ベータグルカンの実績と歴史

ベータグルカンは太古から人類に病気治療に利用されていた。しかし、その効果・作用がベータグルカンによるものだとは知らずに、薬として使っていたのである。

昔話として語られることの多き「奇跡のキノコ」は世界各地に存在する。日本ではハナビラタケ、ロシアではカバノアナタケ(チャーガ)、ブラジルではアガリクス、中国の漢方薬では冬虫夏草や鹿角霊芝などが、難病を治すキノコとして有名である。これらのキノコを直接たべたり、煎じたり、乾燥粉末にしたりして、病人に与えることで、難病が治癒もしくは良化することが多かった。今ではこれらのキノコの中身の成分分析が可能となったことで、含まれているベータグルカンによる効果効能であることが判明している。(現在でも、キノコの健康食品が流通しているのは、迷信信仰とさえ呼べるレベルの非効率性を内在している)

欧米においてもアジアと同様にキノコ信仰は強いものがあったのは19世紀までである。古くは錬金術に端を発する化学技術は、産業革命後にも発展を遂げたことで早くから成分分析技術の実益を享受してきた。 欧米ではマイタケに対する信頼感が高く、マイタケからの抽出液は人気を博してきた。しかし、米国でザイモサンという免疫賦活物質が開発・発見されて以降は、状況に変化が訪れるのである。キノコ抽出物よりも遥かに効率的に免疫力を上げられる物質の発見は画期的であった。合理性を重んじる欧米の文化においては、ザイモサンの機能性は非常に歓迎され、総じてキノコ健康食品は衰退した。しかし、当初は何故ザイモサンが癌に効くのかは、成分分析技術が追いついていなかったために、未知であった。効果は解ったものの、何故効果があるのかは、解明されていなかったのである。

ザイモサンの中のベータグルカンが効果のある主要因だと解明されるのは1980年代であったが、並行してザイモサンを超えるベータグルカン精製技術が進歩した。非常に純度の高いベータグルカンが爆発的に広まったのは1990年に入ってからのことであった。 これらのベータグルカンは、ザイモサンの抽出原料であったパン酵母(イースト菌)に由来して、Beker's Yeast Beta Glucanとして流通している。日本では「パン酵母由来のベータグルカン」として紹介されている。

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